【もくじ】

  1. 雨の強さと降り方
  2. 大雨による災害
  3. 普段からの備え
  • 非常用品の準備
  • 非常持ちだし品の確認
  • ハザードマップの確認
  1. 強い雨が降る前に
  2. 大雨が降りだしたら
  • 強い雨が降るときの注意点
  • 危険度分布の確認
  1. 土砂災害の前兆
  • がけ崩れ
  • 地すべり
  • 土石流

1.雨の強さと降り方

気象庁によると、雨の強さと降り方は以下のようにまとめることができます。

雨の強さと降り方(気象庁より)

1時間雨量(mm) 予報用語 人の受けるイメージ 人への影響 屋内(木造住宅を想定) 屋外の様子 車に乗っていて
10以上~20未満 やや強い雨 ザーザーと降る 地面からの跳ね返りで足元がぬれる 雨の音で話し声が良く聞き取れない 地面一面に水たまりができる
水たまりのイラスト
 
20以上~30未満 強い雨 どしゃ降り 傘をさしていてもぬれる
雨と傘のイラスト
寝ている人の半数くらいが雨に気がつく ワイパーを速くしても見づらい
車のワイパーのイラスト
30以上~50未満 激しい雨 バケツをひっくり返したように降る 道路が川のようになる 高速走行時、車輪と路面の間に水膜が生じブレーキが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象)
50以上~80未満 非常に激しい雨 滝のように降る
(ゴーゴーと降り続く)
傘は全く役に立たなくなる 水しぶきであたり一面が白っぽくなり、視界が悪くなる 車の運転は危険
80以上~ 猛烈な雨 息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる

2.大雨による災害

日本では、季節によって雨が強く降ることがあります。
春から夏に移り変わる5月から7月には梅雨前線が、夏から秋に変わる9月から10月ごろには秋雨前線が停滞し、しばしば強い雨をもたらします。
夏には台風による大雨が発生したり、限られた地域に強い雨が降る集中豪雨も発生したりします。

長時間雨が降ったり、短期間に同じ場所で大雨が降ったりすると、河川の氾濫、土石流、地滑り、がけ崩れなどを発生させます。
ここに暴風、高波、高潮などが加わると、さらに大きな災害になることもあります。

また、大雨は自然災害だけでなく、浸水、停電、断水などを引き起こし、ライフラインへ重大な影響を与えることもあります。

道路が通行止めになったり、鉄道が運休したりと交通障害が起きることもあるため、台風が近づくときは細心の注意が必要となります。

2018年と2019年の大雨による被害
発生日時 地域 気象状況 災害
2019年10月24~26日 千葉県と福島県を中心とした地域 低気圧や台風21号等による大雨
  • 土砂災害、浸水害、河川の氾濫の発生
  • 人的被害と住家被害
  • 停電や断水などのライフラインへの被害
  • 鉄道の運休などの交通障害
2019年8月26~29日 九州北部地方を中心とした地域 前線による大雨
  • 記録的大雨、
  • 河川の氾濫、浸水害、土砂災害
  • 人的被害、住家被害、農地被害
  • 停電や断水などのライフラインへの被害
  • 鉄道の運休などの交通障害が発生
2018年6月28日~7月8日 西日本を中心とした、全国的に広い範囲 前線及び台風7号による大雨
  • 記録的な大雨、強風
  • 河川の氾濫、浸水害、土砂災害などの発生
  • 全国各地で断水や電話の不通などの被害
  • 鉄道の運休などの交通障害
  • 死者224名、行方不明者8名、負傷者459名(2018年11月6日時点、『消防白書』より)

3.普段からの備え

このように、大雨は重大な被害を及ぼす可能性があります。
命を守り、被害を最小限にするためにも、普段から災害に対する備えをしておきましょう。

  1. 非常用品の準備
    非常事態に備えて、これらのものがどこにあるか確認し、ないものは揃えるようにしましょう。

✔ 懐中電灯
✔ 携帯用ラジオ(乾電池) 
✔ 救急薬品 
✔ 衣類
✔ 非常用食品、飲料水 
✔ 携帯ボンベ式コンロ 
✔ 貴重品
など

  1. 非常持ちだし品の準備

必要な時にいつでも避難できるよう、リュックサックなど両手がふさがらないカバンに非常用の持ちだし品を入れて準備しておきましょう。

□ リュックサック
食料品等
□ 飲料水
□ 乾パンやクラッカーなど
□ レトルト食品、缶詰
□ 粉ミルク、哺乳ビンなど
保存食のイラスト
日用品
□ ナイフ、缶切り
□ 鍋や水筒
□ 懐中電灯
□ ラジオ
□ 電池
□ ロープ
□ マッチやライター
□ 使い捨てのカイロ
□ ティッシュなど
□ 筆記用具
□ ごみ袋
医薬品等
□ 救急医薬品
□ 常備薬
□ マスク
□ 紙おむつ
□ 生理用品
貴重品、お金
□ 現金(小銭も)
□ 預金通帳など
□ 印鑑
□ 健康保険証など
□ 身分証明書
衣服
□ 下着
□ タオル
□ 寝袋
□ 雨具
□ 軍手
□ 靴
その他
□ 防災頭巾やヘルメット
□ 予備の眼鏡など
□ 地図

これら以外にも、避難する場所とそこまで行くルートも確認しておきましょう。

  1. ハザードマップの確認
    大雨が降る前に、普段から自分が住む地域における災害リスクを理解しておくことが大切です。
    ハザードマップを用いることで、周辺地域の災害リスクを知ることができます。
    避難する際のルートや避難場所に行くまでの方法を検討する際にも使えるため、事前に確認しておきましょう。

ハザードマップはお住まいの自治体で公表しているほか、国土交通省が作成したハザードマップポータルサイトを利用し、確認することもできます。

『ハザードマップポータルサイト~身のまわりの災害リスクを調べる~』
リンク https://disaportal.gsi.go.jp/
内容 自分がいる地域を選択することで、身のまわりにある自然災害のリスクをまとめて調べることができます。
このポータルサイトは以下のような目的で活用できます。
  • 避難ルート、避難方法の検討
  • 自宅付近の災害リスク確認
  • 浸水対策の検討
  • 地震対策の検討
『わがまちハザードマップ』
リンク https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/index.html
内容 地図や災害種別に、全国の市町村が作成したハザードマップを検索することができます。
閲覧できる情報は以下の通りです。
  • 洪水ハザードマップ
  • 内水ハザードマップ
  • 高潮ハザードマップ
  • 火山ハザードマップ
  • 津波ハザードマップ
  • 土砂災害ハザードマップ
  • ため池ハザードマップ
  • 震度被害(ゆれやすさ)マップ
『重ねるハザードマップ』
リンク https://disaportal.gsi.go.jp/maps/
内容 防災に役立つ災害リスク情報を、地図や写真に自由に重ねて表示することができます。
閲覧できる情報は以下の通りです。
  • 洪水浸水想定区域:河川の氾濫による浸水が想定される区域と浸水の深さ
  • 道路冠水想定箇所:大雨により冠水し車両が水没するなど重大な事故が起きる可能性がある箇所(アンダーパスなど)
  • 緊急輸送道路:救難、救助、物資供給などの応急活動のために、緊急車両の通行を確保すべき重要な道路
  • 事前通行規制区間:大雨などで土砂崩れや落石の恐れのある箇所について、規制の基準を定めて、災害が発生する前に通行止めなどの規制を実施する区間
その他にも以下の情報を確認できます。
  • ため池浸水想定区域
  • 津波浸水想定
  • 土砂災害警戒区域等、土砂災害危険箇所
  • 予防的通行規制区間
  • 過去から現在までの空中写真
  • 土地条件図
  • 沿岸海域土地条件図
  • 治水地形分類図
  • 明治期の低湿地
  • 活断層図
  • 火山基本図、火山土地条件図
  • 色別標高図
  • 自由な色別標高図
  • 大規模盛土造成地

4.強い雨が降る前に

これから強い雨が降ることが予想される場合、屋内と屋外の両方でしっかりとした対策をしましょう。

  • 窓と雨戸は鍵を掛けてしっかりと閉め、必要に応じて補強しましょう。
  • 側溝や排水溝は掃除をして、水はけを良くしておきましょう。

大雨が降ると、水がうまく流れずにあふれ出す恐れがあります。

  • 断水に備えて飲料水を確保したり、お風呂に水を溜めたりしておきましょう。
    お風呂に溜めたお水はトイレにも利用できます。

5.大雨が降りだしたら

大雨が降りだしたらTVやインターネット、ラジオなどを通して最新の気象情報を確認し、雨が止むまでは安全な場所で過ごしましょう。

  1. 強い雨が降るときの注意点
    雨が強く降っているときは、以下の点に注意しましょう。
  • 外出は控えましょう。
    大雨で道が川のようになることもあります。
    このような道を歩くと転倒しやすいほか、ふたの外れたマンホールに落ちる可能性もあり非常に危険です。
  • 夜間の外出はやめましょう。
    夜間はさらに視界が悪くなり危険度が高まるので、夜間に移動するのは避けましょう。
    夜間に避難が必要になる可能性がある場合は、まだ雨風が強くないと感じても、明るいうちから移動することも考えましょう。
  • 河川には近づかないようにしましょう。
    自分のいる場所では強い雨が降っていなくても、川上では大雨が降り、水量が急激に増える可能性があります。
  • 海岸へは近づかないようにしましょう。
    高潮や高波が発生する恐れがあり、非常に危険です。
  • 山やがけには近づかないようにしましょう。
    台風による大雨で、がけ崩れなどが生じる恐れがあります。
    山の側に家がある場合は、上の階の、山から遠い部屋にいるようにしましょう。

これ以外にも、危険だと思われる行動は避けましょう。
また、雨がやんでも油断は禁物です。
地面は雨水を多く含んでいるため、土砂災害が起きやすい状態になっています。

  1. 危険度分布(土砂災害・浸水害・洪水)の確認
    気象庁ホームページでは、土砂災害、浸水害、そして洪水の危険度分布を確認できます。
    現時点で自分の住む地域に災害が起きるリスクはないか、確認しましょう。

危険度分布の中でも、特に濃い紫色で表示されている箇所は、最大限の注意が必要です。
濃い紫色は一番高い危険度を示しており、重大な災害がすでに発生している可能性が高いことを表しています。

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201206/img/a_12b.jpg
大分県日田市小野川の状況(上段)と「洪水警報の危険度分布」(下段)。黒丸は写真を撮影した場所。
(政府広報オンラインより、写真提供:大分県日田市職員 画像:気象庁)

また、今はまだ赤色や黄色だから大丈夫だと思っていても、注意が必要です。
写真を見ても分かる通り、雨による影響は想像以上に早く、薄紫色だった河川が、30分後には濃い紫色に、赤色が薄い紫色に変化しています。
よって、土砂災害警戒区域や河川氾濫の危険がある地域に住む場合は、早めの避難を心掛けましょう。
特に、すでに大雨が降り、今後さらなる雨が予想される場合は、災害が起こる危険性が高まっています。

また、危険度分布に関わらず、自治体から避難勧告が発令された場合には、速やかに安全な場所に避難しましょう。

6.土砂災害の前兆

大雨が降ったときに気を付けなければならない災害の一つが「土砂災害」です。日本には傾斜が急な山が多くあり、台風や大雨により土石流やがけ崩れ、地滑りなどを引き起こすことがあります。

これらの被害に遭わないためには、普段からハザードマップで身の回りにある自然災害のリスクを理解し、前兆現象に気づいたら、いち早く安全な場所に逃げることが大切です。

また、雨が止んでも、集中豪雨や長い間雨が降った後は、土砂災害のリスクが高まっているため危険です。十分に注意しましょう。

  1. がけ崩れ
    雨の浸透や地震などで斜面の地表に近い部分がゆるみ、突然崩れ落ちることをいいます。
    人家の近くで発生すると、逃げ遅れて命を失うこともあります。

がけ崩れが発生する前には、以下のような前兆現象が見られることがあります。

  • がけにひび割れが入る
  • 小石がパラパラと落ちてくる
  • がけから水が湧き出る
  • 湧き水が止まる、または濁る
  • 地鳴りがする
  1. 地すべり
    地下水と重力により、斜面の一部あるいは全部がゆっくりと斜面の下方へ移動する現象のことをいいます。
    移動する土の量が多いため、非常に大きな被害が発生する恐れがあります。

地すべりが発生する前には、以下のような前兆現象がみられることがあります。

  • 地面のひび割れや陥没
  • がけや斜面から水が噴き出る
  • 井戸や沢の水が濁る
  • 地鳴りや山鳴りがする
  • 樹木が傾く
  • 亀裂や段差が発生する
  1. 土石流
    長い間雨が降ったり、集中豪雨が発生したりして、川底や山腹にある石と土砂が一気に下流へ押し流される現象のことをいいます。
    時速20~40kmの早さで土砂が流れてくるため、一瞬のうちに人家や畑を壊滅させる危険性があります。

土石流が発生する前には、以下のような前兆現象がみられることがあります。

  • 山鳴りがする
  • 川の水が急に濁り、流木が混ざり始める
  • 腐った土の匂いがする
  • 雨が続くのに、川の水位が下がる
  • 立木が裂ける音や石がぶつかり合う音が聞こえる

これらの兆候現象に気づいたら、市町村からの避難指示や勧告を待たずに安全な場所に避難しましょう。

・上記内容は以下の情報を参考に作成しております。参照元に内容の変更がある場合、当サイトに反映されるまで時間が掛かる場合がございます。予めご了承ください。

【出典】

・『大雨や台風に備えて』(pdf)、気象庁
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/ooametyphoon/ooametyphoon201903.pdf

・「雨の強さと降り方」、気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/amehyo.html

・「災害をもたらした気象事例(平成元年~本年)」、気象庁
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/index_1989.html

・「自分で行う災害への備え」、気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/ame_chuui/ame_chuui_p10.html

・「重ねるハザードマップとは?わがまちハザードマップとは?災害リスクを簡単に調べる」(pdf)、ハザードマップポータルサイト、国土交通省
https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/pamphlet/pamphlet.pdf

・「大雨や台風の気象情報に注意して早めに防災対策・避難行動を行いましょう」、政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201206/1.html

・「土砂災害から身を守る3つのポイント!」、政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201106/2.html